ものがたり

このお正月から、久しぶりに小説にはまっております。
なかなか、(自分のなかでの)新しい作家に手を出せない質なんですが、今さらというか、いしいしんじさんの作品を読んでおります。
以前、「麦ふみクーツェ」を途中で挫折してしまったことがあるので、苦手なタイプの小説という印象でずっときてしまったのですが、再チャレンジで読んだ「ぶらんこのり」がおもしろくって、あっというまに読んでしまいました。

そして今は、長編「ポーの話」のちょうど真ん中あたりまで読み終わったところです。
正直、前半はちょっとツライかも・・・と思いながら騙し騙し読み進めたところもあるのですが、メリーゴーランドとひまし油の兄妹が出てきたあたりから、すっぽりポーの世界に自分も入り込んでしまった感じです。
久しぶりに、本を読んでとおくまでいった気分になりました。
ものがたりを読む醍醐味は、「そうそうそう、こういうの、こういうの!!」と、どきどきしてしまう感じ。
不思議な世界の、ちょっと(?)かわった登場人物がポツリと話す言葉がなんだかいいのです。

鳥の巣箱作りが得意な、足の悪い少年(猟師・犬じじの孫)が、ポーに自分の夢を話す場面で言うことばとか。

「ぼくは体が悪いから、他のひとより、ちょっとのことしかできないだろ。だから、そのちょっとのことだけはさ、大切にね、他のひとがやらないくらいにていねいに、やらなくちゃいけない、って気がするんだよ」



早く読み終えたいような、でも読み終えてしまったらさみしいような。
でも、そんなふうに思える本と出会える事こそ、本好きにとってはシアワセなことなんですよねー、きっと。